リハビリのモチベーションを保つたった3つのコツ【前十字靭帯・半月板の経験から】
リハビリのモチベーションを保つためには、目標を思い描きながら一歩ずつ前へ進むことが大切です。

リハビリのモチベーションを保つたった3つのコツ【前十字靭帯・半月板の経験から】

前十字靭帯や半月板の手術をすると、どうしても「リハビリ期間の長さ」と向き合うことになります。

受傷から手術まで、そして手術からスポーツ復帰までを合わせると、だいたい1年近い時間が必要です。頭ではわかっていても、実際にその時間を過ごしてみると想像以上に長く、そしてしんどい期間になります。

私自身、バスケットボール歴は約20年ですが、そのうちの長い時間をケガとリハビリに費やしました。後から振り返ると「たいしたことない期間」にも見えますが、当事者としてリハビリをしている最中は、本当に出口が見えない感覚になることがあります。

ここでは、私の実体験をもとに、リハビリのモチベーションを保つための具体的なコツをまとめました。特に、前十字靭帯・半月板の手術後にありがちな「中だるみの時期」をどう乗り越えるか、に焦点を当てて書いていきます。

リハビリのモチベーションが下がりやすいタイミング

まず最初に、「どのタイミングで心が折れやすいのか」を整理しておきます。

  • 手術直後〜退院直後:痛みは強いものの、「早く良くなりたい」「痛みから解放されたい」という思いが強く、意外とモチベーションは高め。
  • 退院から2〜4か月:まだ足を引きずる、走れない、膝も重い。見た目の変化が少なく、リハビリにも飽きが出やすい。
  • 走り始め〜復帰直前:復帰が見えてきてテンションは上がるが、「再受傷への不安」と隣り合わせ。

この中でも特に厄介なのが、退院して2〜4か月くらいの時期です。

膝の痛みには少し慣れてくる一方で、見た目や動きが大きく変わった実感はあまりありません。
「毎日これだけやっているのに、本当に前に進んでいるのか?」と疑いたくなる時期でもあります。

ここをどう乗り越えるかが、その後の回復スピードや、復帰したときのパフォーマンスに大きく影響してきます。

モチベーションを保つためのいちばん大事な考え方

いくつかテクニックはありますが、まず何よりも大切なのは、次の1つです。

「復帰した自分の姿を、できるだけ具体的に思い描き続けること」

ただ「復帰したい」と思うだけでは弱くて、もう一歩踏み込んでイメージします。

  • コートを全力で走っている自分
  • ジャンプしてシュートを決める自分
  • 仲間とハイタッチして笑っている自分
  • ケガ前よりも強くなって戻ってきた自分

このイメージを持てるかどうかで、同じリハビリメニューでも、取り組むときの気持ちがまったく変わってきます。

私の場合も、正直に言えば途中で何度も心が折れかけましたが、それでも続けてこられたのは、頭の中で何度も「完全復帰した自分の姿」を再生し続けていたからです。

リビングでハーフスクワットをしながら、体育館でドリブルして走る自分の姿を想像している男性のイラスト。右膝にはサポーターを装着している。
リハビリ中の男性が、体育館でのバスケ復帰を思い描きながら自宅でトレーニングを続けている様子。

リハビリのモチベーションを保つ3つの方法

ここからは、実際に私がやっていた具体的な3つの方法を紹介します。

1. ゴールを「言葉」と「数字」でハッキリさせる

まずは、目指すゴールをあいまいな「早く復帰したい」ではなく、言葉と数字でハッキリさせることです。

たとえば、こんな感じです。

  • ◯月までに:正座ができるようになる
  • ◯月までに:装具なしで普通に歩けるようになる
  • ◯月までに:軽いランニングを10分継続できるようにする
  • ◯月までに:チーム練習に合流できる状態に持っていく

ここで大事なのは、「現実的に届くライン」から順番に積み上げていくことです。いきなり最終目標だけを掲げると、そこまでの道のりが遠すぎて、途中で嫌になってしまいます。

手術後すぐの段階なら、次の2つを「最初のゴール」にしても良いと思います。

  • 目標1:反対の足と同じくらいまで膝を伸ばせるようにする
  • 目標2:日常生活で、できるだけ「痛みでしかめっ面をする場面」を減らす

ゴールを言葉と数字に置き換えることで、毎日のリハビリが「なんとなくやるもの」ではなく、「目標に向かうための具体的な行動」に変わっていきます。

2. 小さな変化を「見える化」して記録する

モチベーションが下がる理由の1つは、自分の成長が見えにくいからです。

リハビリはどうしても、昨日と今日の差がわかりにくい世界です。そこでおすすめなのが、次のような「見える化」です。

  • 膝の曲がる角度を、定期的にメモしておく
  • 足まわりのサイズ(太もも周りなど)を測って記録しておく
  • できるようになったことを、スマホのメモに日付付きで残す
  • トレーニング内容(回数・時間)を簡単に記録する

たとえば、こんなメモでも十分です。

● 4月10日
膝曲げ:90度までOK
足上げ:各30回 × 2セット

● 4月25日
膝曲げ:110度までOK
足上げ:各40回 × 2セットに増やした

こうして記録しておくと、ふとモチベーションが落ちたときに見返したとき、

「ちゃんと前に進んでるじゃん、自分」

という実感が得られます。

逆に、記録がないと、「全然変わっていない気がする…」という錯覚だけが強くなり、やる気を削いでしまいます。

3. 仲間と「環境」の力を借りる

どうしても一人で踏ん張れないときは、人と環境の力を素直に借りるのがおすすめです。

仲間に状況を話して、あえて励ましてもらう

一緒にプレーしていた仲間やチームメイトに、今の状況を正直に話してみてください。

「最近ちょっとしんどくて、リハビリのやる気が落ちてきた」

これを言うのは勇気がいりますが、きちんとスポーツに取り組んできた仲間であれば、必ず力になってくれます。

  • 早く一緒にコートに立ちたい
  • 復帰したらこういうプレーをしよう
  • 今やっているリハビリは絶対に無駄にならない

そんな言葉をもらえるだけでも、かなり大きなエネルギーになります。
私自身も、しんどいときほど仲間と連絡を取り、他愛ない会話の中で「また一緒にやろうな」という一言に何度も救われました。

リハビリを「日課」にしてしまう

もう1つ大きかったのが、リハビリを「やるか・やらないか」ではなく、「やるのが当たり前」な状態にもっていくことでした。

たとえば、

  • 朝起きてすぐに、膝の曲げ伸ばしを10分
  • 夜寝る前に、足上げとハーフスクワットをそれぞれ30回

このように「時間と内容」を決めてしまい、歯磨きくらい当たり前の習慣にしてしまいます。

最初の1週間〜10日くらいはしんどいですが、そこを越えると「やらないと気持ち悪い」くらいの感覚になってきます。

私も早起きはかなり苦手でしたが、手術後の時期は、仕事の日でも6時過ぎに起きて1時間ほどリハビリをする生活を続けていました。最初は苦痛でも、不思議なもので、人は「慣れれば普通」になります

朝日が差し込むリビングで、右膝にサポーターを装着した男性が深呼吸しながらリハビリ前の心を整えている様子を描いたイラスト。
毎朝の深呼吸は、リハビリを続けるための心の準備として大きな支えになります。

調子が悪い日の考え方と付き合い方

どれだけ意識していても、「今日はどうしても気分が乗らない」という日も必ずあります。

そんな日は、次のような考え方で乗り切るのがおすすめです。

  • 「100%やる」ではなく「今日は30%だけやる」と自分で決める
  • 時間を短くしてもいいので、「ゼロにしない」ことだけは守る
  • ストレッチや軽いメニューだけの日があってもいいと割り切る

大切なのは、完璧さよりも継続です。

1日完全にサボってしまうと、その翌日に「昨日サボったし、今日もいいか」となりやすく、そこから一気にペースを崩してしまいます。

「今日は30%しかできなかった」と感じる日でも、「ゼロにしなかった自分」を評価してあげてほしいなと、私は思います。

心が折れそうになったときに思い出してほしいこと

最後に、私自身が何度も自分に言い聞かせていたことを書いておきます。

  • 手術を決めたときの「絶対に復帰してやる」という気持ち
  • ここまで頑張れているなら、この先もきっと頑張れるという事実
  • リハビリをサボった時間は、そのまま「復帰の遅れ」になって返ってくること
  • 今の地味な時間が、復帰したときのプレーを支える土台になること

リハビリは、本当に地味で、評価もされにくく、誰かに見えにくい時間です。
それでも、そこで積み上げたものは、自分の膝と、自分の自信にだけは確実に残ります。

モチベーションが落ちそうなときは、今日紹介した内容のうち、どれか1つだけでも思い出してもらえたらうれしいです。

そして、もしまだリハビリの意味そのものがよくわからない…という場合は、こちらの記事も参考になると思います。

リハビリが痛くても続けた方がいい理由と心が折れそうなときの対処法

時間はかかりますが、必ず前には進んでいます。焦らず、一緒に一歩ずつ積み上げていきましょう。

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