
リハビリが痛くても続けなければいけない理由とは
手術のあとに始まるリハビリは、本音を言えば楽しいものではありません。正直に言うと、私も毎回「今日は休みたいな…」と思っていましたし、ベッドの上で最初の曲げ伸ばしをしたときは、あまりの痛さに心が折れそうになりました。
それでも、結果として私はリハビリを続けてきましたし、今こうしてブログを書けているのも、あのとき「痛くてもやる」と決めて動き続けたからだと感じています。
ここでは、私が実際に体験したことをもとに、リハビリが痛くても続けた方がいい理由と、少しでも前向きに取り組むための考え方を書いていきます。
手術直後から始まるリハビリと正直な気持ち
前十字靭帯のときも、半月板のときも、リハビリは驚くほど早いタイミングでスタートしました。前十字靭帯の手術のときは1日空けて、半月板のときは翌日からです。
リハビリの中身だけを見ると、とてもシンプルです。
- 足の曲げ伸ばしで可動域を少しずつ広げる
- 足を伸ばしたまま持ち上げるなどの、軽い筋トレ
- 松葉杖や装具を使いながらの歩く練習
文字にすると「それだけ?」という印象かもしれませんが、術後の体にとっては別世界です。膝を90度曲げるだけでも汗が出ますし、足を10センチ持ち上げるだけで息が上がります。
「こんなに痛いのに、なぜ今やらなきゃいけないんだろう?」
当時の私は、毎回そう思っていました。
それでも動かした方がいい2つの大きな理由
リハビリを続けるかどうかは最終的には自分の判断ですが、少なくとも私は「やってよかった」と感じています。その理由を、体験ベースで2つにまとめてみました。
① 関節が固まるのを防ぐため
手術後、膝を動かさずに安静にしていると、関節まわりはあっという間に固まっていきます。1日、2日サボったからといってすぐに動かなくなるわけではありませんが、「痛いから」と放置する期間が長くなるほど、曲がりづらさ・伸びづらさは強くなります。
実際、私も一時期少しサボってしまい、その後の曲げ伸ばしが余計につらくなったことがありました。「あのとき頑張っておけば…」と本気で後悔しました。
完全に元通りの角度まで戻せるかどうかは人それぞれですが、少なくとも「固まってしまってから慌ててほぐす」より、「少し痛くても毎日少しずつ動かしておく」方が圧倒的に楽です。
② 筋力がどんどん落ちていくのを止めるため
もう1つの理由は、筋力の低下です。手術をすると、患側の脚はあっという間に細くなっていきます。鏡で見ても左右差がわかるくらいで、正直ショックでした。
筋肉が落ちると、膝まわりを支える力が弱くなり、日常生活のちょっとした動きでも不安定さを感じます。階段、段差、急な方向転換…スポーツをしていなくても、ふつうの生活で「怖いな」と思う瞬間が増えます。
リハビリで行うような軽い筋トレでも、毎日積み重ねることで少しずつ筋肉が戻ってきます。私はメジャーで太ももの周囲を測っていたのですが、最初の頃は見るたびに落ち込んでいたのが、あるタイミングから少しずつ数字が増え始め、「あ、戻ってきてる」と実感できるようになりました。
痛みのせいで脚を動かさない日が続くと、筋力低下のスピードはさらに加速します。「痛いからやらない」は、実は「後でさらに大変なリハビリを自分にプレゼントしている」ようなものだと、私は身をもって感じました。
「痛み」とどう付き合うかを考える

とはいえ、何でもかんでも「痛くてもやれ」と言うつもりはありません。私自身、リハビリをしながら、痛みと付き合う線引きをずっと探していました。
私がなんとなく目安にしていたのは、次のような感覚です。
- リハビリ中は痛いけれど、動かしたあとはじわっと温まるような感覚 → 筋肉を使ったときのだるさに近い
- 動かした瞬間に、関節の奥で「ズキッ」と刺さるような嫌な痛み → 無理はしないライン
- ふくらはぎのときのように、「ビリッ」と神経を刺激されたような鋭い痛み → 一度止めて様子を見るライン
本当に危ない痛みかどうかは、最終的には主治医やリハビリの先生に確認してもらうのが一番です。ここに書いているのはあくまで私の感覚ですが、「全部同じ痛み」とひとまとめにせず、種類を意識してみるだけでも、少し落ち着いて向き合えると感じました。
それでも心が折れそうになったときの話
正直に言うと、「今日はもうやめようかな」と思った日は何度もあります。ベッドの上で膝を曲げているとき、リハビリ室でエアロバイクをこいでいるとき、自宅で足上げをしているとき…ふと「なんでこんなに痛い思いをしながら動かさないといけないんだろう」と考えてしまう瞬間があります。
そんなとき、私の背中を押してくれたのは、リハビリの先生の一言でした。
「痛くても、ここで動かしておかないと、あとで本当に動かなくなっちゃうからね。」
すごくシンプルですが、「いまサボること=未来の自分を苦しめること」だとはっきり言われた気がしました。逆に言えば、「今頑張っている分だけ、少し先の自分が楽になる」とも解釈できます。
それ以来、私はリハビリを「未来の自分への貯金」だと思うようにしました。1回の足上げや曲げ伸ばしは小さな動きですが、それを何百回、何日も続けることで、ようやく元の生活に近づいていきます。
無理をしないために決めた、私なりのマイルール
「痛くてもやる」と言うと、どうしても根性論っぽく聞こえてしまいますが、無茶をするのは違います。そこで私は、自分を守るためにいくつかのマイルールを決めていました。
- あらかじめ「今日は○回×○セット」と決めて、できたら終わりにする
- 動かすたびに痛みが強くなっていくときは、一度中断してアイシングを挟む
- 夜まで痛みが残る日が続いたら、次の日は回数を少し減らす
- 不安な痛みが出たときは、次の診察で必ずメモを見ながら質問する
特に効果があったのは、「最初に回数を決めること」でした。なんとなく始めるとキリがなく、逆に「まだ足りないんじゃないか?」と不安になってしまいます。あらかじめ自分でゴールを決めておくと、「ここまでやったら今日は合格」と区切りをつけやすくなりました。
モチベーションを保つための小さな工夫
リハビリは、一気に頑張って終わるものではなく、数か月、時にはそれ以上続きます。どれだけ気合いを入れても、モチベーションが下がる日は必ずきます。
私がやってみてよかったことを、いくつか挙げてみます。
- カレンダーに「リハビリをやった日」に丸を付ける
- 太ももやふくらはぎの太さを定期的に測ってメモしておく
- 痛みが軽くなったタイミングや、できるようになった動作を書き残す
- 自宅リハビリのときは、好きな音楽やラジオを小さく流す
数字や記録として残しておくと、「先週より2センチ太くなってる」「前は曲げられなかった角度まで行けた」など、変化が目に見えるようになります。そうすると、痛いながらも「ちゃんと前に進んでいるんだな」と実感できて、もう少し頑張ろうという気持ちになれました。
これからリハビリに向き合う人へ伝えたいこと
リハビリがつらいとき、「自分だけが取り残されているんじゃないか」と感じることがあります。SNSやネットを見れば、もっと早く復帰している人、もっと軽いケガで済んだ人の情報もたくさん入ってきます。
でも、回復のスピードも、痛みの強さも、環境も、人それぞれです。私自身、2回目の手術ではふくらはぎの神経の痛みが長く続き、「なんで自分だけこんなに痛いんだろう」と何度も落ち込みました。
それでも、少しずつでもリハビリを続けたことで、確実にできることは増えていきました。最初はベッドの上で10度しか曲がらなかった膝が、ある日気付いたら90度近くまで曲がるようになっていたり、怖くて踏み込めなかった段差が、何も考えずに下りられるようになっていたり。
痛みがある中で動くのは勇気がいりますし、「この痛みは大丈夫なのか?」という不安もつきまといます。そんなときは、主治医やリハビリの先生に不安をそのままぶつけてみてください。専門家の考えを聞いたうえで、「自分はどうしたいか」を決めていけばいいと思います。
このページは、あくまで私の体験談と、そこで感じたことを書いたものです。でも、どこかの誰かがリハビリの途中で心が折れそうになったときに、「ああ、自分だけじゃないんだな」と思ってもらえたら嬉しいです。
痛みがあっても、できる範囲で動かし続けること。その積み重ねが、きっと未来の自分の力になってくれます。

