
半月板の手術から復帰までの大まかな流れ
半月板を傷めたからといって、必ずしも全員が手術になるわけではありません。
たとえば、半月板だけの損傷であっても
- キャッチング(引っかかる感じ)やロッキング(完全に動かなくなる)が強くない
- 膝に水がたまりにくい
- 日常生活で大きな支障が出ていない
といった条件がそろっている場合、医師と相談のうえで手術ではなく保存療法が選ばれることもあります。
一方で、症状が強いときや、「半月板の働きと損傷で起こる症状を、実体験をまじえてわかりやすく解説」でも触れているようにキャッチングやロッキングがあるケースでは、手術を勧められることが多い印象です。
ここでは、私自身の経験も交えながら、半月板手術後の「おおまかな期間」と「リハビリの流れ」を整理しておきます。実際のプランは病院やケガの状態によって変わるので、あくまで目安として読んでください。
手術内容によって変わるリハビリ期間
半月板の手術といっても、中身はいくつかに分かれます。リハビリや復帰までの道のりが大きく変わるのが、次の2パターンです。
- 半月板を切り取る「除去(切除)手術」
- できるだけ残す「縫合・一部切除手術」
どちらがいい・悪いという話ではなく、損傷の場所や程度、年齢、どれくらいのレベルでスポーツ復帰を目指すのかなど、いろいろな条件を踏まえて決まります。

半月板除去(切除)手術の場合
除去手術は、傷んだ部分の半月板を切り取ってしまう方法です。クッションの役割を持つ組織を減らすことになるので、将来的な膝への負担はどうしても増えます。
その一方で、回復スピードという点ではかなり早いケースが多く、私が同じ病室で見ていた方は次のような流れでした。
- 手術翌日:杖を使いながら歩行練習を開始
- 数日~1週間:日常生活レベルの歩行はほぼ可能
- 2週間前後:筋力トレーニングを本格的に開始
- 約2か月:ジョギング再開
- 約3~4か月:競技レベルの練習に合流
回復が早い分、「普通に動ける=何をしても大丈夫」と勘違いしやすいのが怖いところです。
膝への負担が蓄積すると、将来的に軟骨のトラブルや変形性膝関節症につながるリスクがあると説明されることもありました。
日常生活への復帰は早いものの、長い目で見ると「どこまで負荷をかけても良いか」を意識した付き合いが必要な手術だと感じています。
半月板縫合・一部切除手術の場合
最近は、できる限り半月板を残す方向で手術が組まれることが多く、私も最初はこのパターンでした。
傷んでしまったところを縫い合わせたり、ごく一部だけを切除したりしながら、クッションとしての機能をなるべく残す方法です。回復までに時間はかかりますが、スポーツへの本格復帰を目指しやすいのが大きなメリットです。
私自身の経過や周囲の例をまとめると、イメージとしては次のような流れでした。
- 手術翌日:痛みは強いものの、杖を使って短距離だけ歩行可
- 1週間前後:両足でゆっくり体重をかけながら歩行
- ~3か月:可動域の確保と筋力トレーニングがメイン。ジョギングは禁止のことが多い
- 約3か月:経過が良ければ軽いジョギングを再開
- 約5~6か月:段階を踏みながら、競技レベルの練習に戻っていく
除去手術と比べると、どうしても「2か月分くらい遅れてスタートする」感覚です。その間は、焦りや不安も出てきますが、医師や理学療法士の指示に従いながらコツコツ積み重ねていくしかありません。
縫合部分に強い衝撃が加わると糸が切れてしまう可能性もあるので、「無理をしないラインを守ること」が何より重要だと痛感しました。
私が経験した「縫合から再受傷、そして部分切除」
ここからは、私自身の半月板の経過を少し具体的に書いておきます。
私は最初の手術で、半月板をできるだけ残す縫合・一部切除を選びました。時間はかかりましたが、そのおかげで一度はコートに戻ることができ、「また前みたいに動けるかもしれない」と思えるところまでは回復しました。
ところが、その後の生活のなかで、リハビリとは関係のない場面――縁石につまずいたような、ほんの一瞬の出来事がきっかけになり、縫合した部分を再び傷めてしまいます。
そこで2度目の手術を行い、再度「半月板を残す方向」で治療してもらいましたが、結果的には十分にくっつかず、3回目の手術では部分切除を選ばざるを得ませんでした。
つまり、今の私は「半月板をすべて残せた状態」ではなく、一部を失った膝と付き合いながら生活しているというのが正確な状況です。
それでも、
- 可動域を維持するストレッチ
- 太もも周りの筋力トレーニング
- 体重管理やプレー強度のコントロール
といった工夫を続けることで、今も「まったく動けない」わけではなく、スポーツを現状は目いっぱい楽しめています。
ただし、以前と全く同じ負荷を膝にかけ続けるのは現実的ではないと感じています。
「どれくらいまでなら膝が耐えられそうか」「翌日に痛みが残らないラインはどこか」を探りながら、付き合い方を少しずつ変えているのも重要なポイントです。実際、筋トレを少しさぼっている期間があると膝の痛みが出やすくなるなという感覚はあります。
手術から復帰までで意識しておきたいこと
- 手術をするかどうか、どの方法を選ぶかは、膝の状態と自分の目標(どこまで動けるようになりたいか)で大きく変わる
- 除去手術は回復が早い一方で、長期的な負担や運動量のコントロールが課題になりやすい
- 縫合・一部切除は復帰まで時間がかかるが、条件が合えばスポーツへの本格復帰を目指しやすい
- 私のように「縫合 → 再受傷 → 部分切除」となるケースもあるため、術後の過ごし方や無理のラインを意識することがとても重要
- どの手術でも、「無理をしないライン」を守り続けることが、再受傷を防ぐ一番の近道
どの選択肢がベストかは、人それぞれ違います。
将来的にどのくらい動きたいのか、どこまでリスクを許容できるのかによっても、答えは変わってきます。
私としては、若くてこれからもスポーツを続けたい人ほど、時間はかかってもまずは半月板を残す方向を医師と一緒に検討してみる価値はあると感じています。ただし、「縫合すれば一生安心」というわけではなく、その後の生活やリハビリの取り組み方次第で結果が変わってしまう、ということも身をもって知りました。
いずれにしても、早めに専門医に相談し、自分の膝の状態やリスクをしっかり説明してもらったうえで決めることが大切です。
長い付き合いになる膝だからこそ、焦らず、じっくり向き合ってあげてください。

