
退院直後の私生活には思った以上に危険が多かった
どうも、えすひろです。
入院生活を終えて退院したあと、「家に帰れば少しは楽になるだろう」と正直どこかで思っていました。でも現実はその逆で、私生活は苦難の連続でした。
まだ膝もふくらはぎも不安定な状態のまま、いきなり日常生活に戻ることになります。普段なら意識もしないような場所や段差が、退院直後の身にはすべて「危険地帯」に見えていました。
この記事は、前十字靭帯再建術と半月板の手術を受けた私個人の体験談です。治療やリハビリの方針は、必ず担当の先生や理学療法士さんと相談してくださいね。
屋外で感じた「危険ポイント」
まずは外出時に「これは危ないな…」と感じたポイントからまとめておきます。どれも普段なら気にも留めないようなことですが、退院直後の膝にはかなりのプレッシャーでした。
中距離以上の外出はとにかくしんどい
退院したばかりのころは、「ただ歩く」こと自体がすでに小さなリハビリという感覚でした。
- 少し長く歩くと膝の中に血がたまるような感覚
- じっと座って足を下げているだけでもジンジンしてくる
- 杖の使い方が下手で、わきのあたりの皮が挟まって内出血になった
こんな状態だったので、「ちょっとそこまで」の距離でも私には中距離ランク。用事を済ませるだけで、膝も体もぐったりしていました。
階段は一段一段が勝負
当時、私はアパートの2階に住んでいました。足が思うように上がらない状態での階段は、本当に怖い存在でした。
- 手すりをつかんで、左足(健側)を先に一段上げる
- 体重をしっかり移してから、右足(患側)をそっと同じ段に上げる
- スピードはとにかくゆっくり、焦らないのが大事
同じアパートの人が後ろに来ると、正直かなり焦りました。焦っても仕方ないし、ついた人も優しく接してくれるのですが、焦るものは焦りますよね。
ちょっとした段差も油断ならない
普段なら何でもないような10cmくらいの段差でも、退院直後は危険な障害物です。
- つま先をひっかけたらそのまま転びそう
- 下を見ながらでないと、とても歩けない
- 「慣れてきた頃」が一番危ないと感じた
歩くと普通に痛みもあるので、終始ビクビクしながら足元を確認していました。今思い返しても、あの時期はいつも地面ばかり見ていた気がします。ちょっとふいに足を引っかけたら移植した筋にとっては致命的になりかねませんからね。
マンホール・排水溝の上はなるべく避けたい
マンホールや排水溝のフタはちょっと曲者でコンクリートと比べるとかなり滑りやすいです。
- 晴れていても「ツルッ」といきそうな感覚
- 雨の日は近寄りたくないレベル
- 杖の先が変な方向にすべるのも怖い
砂利道は足場が不安定で怖い
砂利道もなかなかの曲者でした。
- 足元がグラグラして膝に力が入りやすい
- 不意に体勢を立て直そうとして膝をねじりそうになる
膝をかばいながら歩いていると、全身ガチガチに力が入ってしまいます。砂利道が続く道は、退院直後の私にとっては出来れば避けたいコースでした。不用意に足に力みを入れると痛いですからね。
電車などの公共交通機関は「揺れ」との戦い
電車やバスの揺れも、思っていた以上に膝に響きました。
- 立ったままだと揺れのたびに膝に負担がかかる
- 人が近くにいると、ぶつからないかヒヤヒヤする
どうしても乗らなければいけないときは、できるだけ座るようにしていました。松葉杖をついていると、周りの人が席を譲ってくださることも多く、「日本はやさしいなぁ」としみじみ感じました。
「今だけは遠慮なく甘えよう」と割り切って考えるようにしましょう。
家の中にもこっそり潜む危険
外だけでなく、「安全なはずのマイホーム」にも意外と危険がありました。気が緩みやすい場所だからこそ、ふとした拍子にヒヤッとする場面が多かったです。
フローリングは想像以上にすべる
まずはフローリング。特に靴下を履いていると、思っている以上にツルツルでした。
- 足を軽くついたつもりでも、スッと前に出すぎる
- 体勢を崩して、あわてて膝に力を入れてしまいそうになる
立ち上がる・座る動作は膝の曲げすぎ注意
椅子メインの生活ならまだ楽ですが、私の家は床に座って布団で寝る生活スタイルでした。
- 床からの立ち上がりで膝が深く曲がりやすい
- しゃがみ込むような姿勢になると、半月板の縫合部が気になる
特に半月板の縫合をしている場合は、膝を深く曲げすぎると負担がかかりそうで怖く感じます。手を使ってできるだけ上体を支えながら、ゆっくり動くようにしていました。
浴室はシンプルに「すべる場所」
浴室は、とにかくすべりそうという印象でした。
- 石鹸やボディソープのヌルヌルが残っていると危ない
- 立ち上がるときに足元がズルっといきそうで怖い
浴室ではなるべくゆっくり、手すりや壁をしっかり支えにしながら動くようにしていました。ここで転んだら洒落にならない…という緊張感はずっとありました。
外にいるときほどの危険は少ないとはいえ、「家だから大丈夫でしょ」と油断していると、ふとした拍子にやらかしそうになります。家の中でも少しだけ気を張り続けるのは、精神的にはしんどいですが、再受傷するリスクを考えると必要な期間だったと今は思います。
退院後しばらく支えてくれた膝装具

退院後の生活で、ぼくの膝を守ってくれたのが膝の装具でした。入院中に作ってもらった、かなりしっかりしたタイプのものです。
私の場合は、
- 退院後1か月くらいまでは、外出時はもちろん自宅でも装着
- 膝をねじる動きや深い屈曲を抑えてくれる役割
- その代わり、筋肉は少し細くなっていく
正直、装具の値段を聞いたときは「え…」となりましたが、それでも「まずは膝を守ることが最優先」だと感じていました。筋力はあとからいくらでも鍛え直せますが、移植した腱や縫合した半月板を守れるのはこの時期だけだからです。
退院直後は「慎重すぎるくらい」でちょうどよかった
こうして振り返ってみると、退院直後の生活はとにかく「慎重に、慎重に」の連続でした。
- 外はどこを歩いても危険に感じる
- 家の中でさえ油断ならない
- 常に膝と相談しながら、ゆっくり動く毎日
当時は「ここまで気を遣わないといけないのか…」と正直つらく感じることも多かったです。それでも、再断裂や再受傷を避けられたことを考えると、あの慎重さは無駄ではなかったと思っています。
この記事が、これから退院を控えている方や、退院直後の生活が不安な方にとって、少しでもイメージづくりの参考になればうれしいです。

