退院1週間後の検診とリハビリで感じたこと|リハビリは痛くてもやらなければならない
エアロバイクを使った軽い運動は、負担を抑えながら足をほぐすのに役立ちました。

退院1週間後、ふくらはぎの不安を抱えたまま病院へ

退院から一週間後、最初の検診の日がやってきました。このころには、何もしていなければふくらはぎ上部の激痛はおさまってきていて、「じっとしている分には何とかなる」という状態でした。

ただ、家の中でそろそろ動き始めたとはいえ、病院までの「遠出」はこれが初めてです。頭のどこかで、あの嫌な痛みがぶり返すんじゃないかという不安がずっと消えませんでした。

退院直後に味わった、立っているだけでズンズン足が重くなっていくあの感覚は、完全にはなくなっていません。太ももを少し持ち上げて膝を直角くらいまで上げると、ふくらはぎの奥から「来るぞ」という予兆のような違和感があります。

そんな状態なので、この日はとにかく慎重に動くしかありませんでした。階段は極力避ける、段差は一段ずつゆっくり、無理に歩幅を広げない――一つ一つの動きに気を配りながら、家を出ました。

万が一、途中で我慢できないくらい痛くなったときのために、ふくらはぎ用の包帯もバッグに入れていきます。さらに、退院時に借りていた松葉杖も返却のために持っていきました。

普通に歩いているときは、膝そのものの痛みはそこまで強くありません。だからこそ、歩けるようになってくると松葉杖がちょっと邪魔に感じてしまうのも正直なところです(笑)。

電車に乗るときは、その松葉杖が思わぬ助けになることもありました。杖をついているだけで、周りの方が積極的に席を譲ってくれます。申し訳なさもありつつ、そのご厚意に甘えて座らせていただきました。

電車を降りると、関東労災病院までは短い徒歩の区間があります。この「少し歩くだけ」の距離が、今の自分にとってはちょっとした冒険のように感じられました。

駅から病院に向かう途中、ふくらはぎのあたりに、あの嫌な「じわじわ」が少しずつ出てきます。「これ、あのパターンに近いな…」と心の中で思いながら、外ではなるべく平静を装って歩き続けました。

本音では心の中で叫びまくりでしたが、どうにか表情には出さず、無事に病院に到着です。

主治医にふくらはぎの痛みを伝える

病院に着いて最初にしたのは、売店で松葉杖を返却することでした。預けていた保証金の1,000円を返してもらい、ここでひとつ区切りがついたような気がしました。

そのあと、いよいよ診察です。

先生に、膝そのものは順調そうだけれど、ふくらはぎ上部がものすごく痛むことを伝えました。退院直後から続いている痛みのこと、立っている時間が長くなるとズンズン重くなること、太ももを上げるとあの鋭い痛みが襲ってくること――一つ一つ、できるだけ丁寧に話しました。

話し終えたところで、先生は私のふくらはぎをしっかりとつかみ、そのまま曲げたり動かしたりしようとしてきます。

「ちょ! マジで!! やめてください!!」

思わず、先生の手をガッと引きはがしてしまいました。あの瞬間の私は、ほとんどキレていたと言ってもいいくらいです(笑)。

先生は少し驚きつつも、

「あ、ごめんなさい。内視鏡の手術とはいっても、関節の中は実際には器具を入れてかなりいじっていますからね。その周りの組織とか神経にも負担がかかるんです。だから、しばらくは痛みが残ることもありますよ。」

と、落ち着いた口調で説明してくれました。

専門的な部分は正直よくわからないところもありましたが、「ふくらはぎの痛みも、手術の影響で神経や周りが敏感になっているせい」ということは伝わってきました。

不安がゼロになったわけではありませんが、命にかかわるようなものではなさそうだ、と少しだけホッとしたのを覚えています。

スパルタン先生の「痛くてもやらなきゃね」の一言

診察が終わったあとは、いつものリハビリの時間です。

リハビリの先生――私が密かに「スパルタン先生」と呼んでいる先生にも、ふくらはぎの痛みのことを詳しく話しました。どこが痛いのか、いつ痛みが強くなるのか、どんな感じの痛みなのかを、一つ一つ伝えていきます。

先生はしばらく話を聞いたあと、珍しく少し真剣な表情になって、こう言いました。

「その場所と痛み方は、完全に神経から来てるね。手術のときに、周りの神経が傷ついたり、刺激されたりしたんだと思うよ。」
「でも大丈夫。それなら時間はかかるけど、少しずつ良くなっていくタイプの痛みだから。」

手術の先生の説明より、なんだか先生っぽいことを言ってくれています(笑)。でも、この言葉にはとても安心させられました。「ちゃんと時間がたてば良くなるよ」とはっきり言ってもらえたことが、心の支えになりました。

そのうえで、

「じゃあ、チャリ乗れる?」

と聞かれました。

ふくらはぎがこんな状態で自転車? と一瞬思いましたが、神経の問題だとわかったうえで、それでも「乗れる範囲で動かしたほうがいい」と言われると、不思議と頑張れる気がしてきます。

リハビリ用のエアロバイクに乗って、10分間こぎました。もちろん楽ではありません。ふくらはぎにはしっかり響きます。

それでも、「ここで何もしないでいると、膝自体が固まってしまうかもしれない」という怖さのほうが大きかったです。

リハビリの最後に、スパルタン先生から、こんな言葉をもらいました。

「痛くても、できる範囲で動かさないと膝が固まっちゃって、あとがきつくなっちゃうからね。
無茶はしなくていいけど、『痛くても、できる範囲のリハビリは続ける』っていうのがすごく大事だよ。」

この一言で、「痛いから何もしない」ではなく、「痛いけど、様子を見ながら少しずつ動かす」という方向に気持ちを切り替えることができました。

さらに先生は、何度も念を押すように、

「本当に、治り方はゆっくりだからね。1か月くらいかけて徐々に良くなっていくイメージでいて。無理して追い込み過ぎないで。」

と伝えてくれました。

今日のスパルタン先生は、妙に心に刺さることばかり言っていた気がします。いい指導者というのは、こうやって「頑張らせつつ、ブレーキもかけてくれる」ものなのかもしれません。

無理はしすぎず、止まりきらないようにするバランス

とはいえ、「痛くてもやらなきゃいけない」という言葉を、そのまま根性論として受け取るのは危険だとも思っています。

私自身の中では、

  • 明らかに「これはやばい」と感じる痛みの動きはしない
  • まったく動かさずに固めてしまわないよう、少しだけでも毎日動かす
  • 不安なことや怖かったことは、次の診察やリハビリで必ず話す

このあたりを、自分なりのラインとして意識していました。

「何もしない」か「限界までやる」かの二択ではなく、その真ん中あたりでうまくバランスを取る――そんなイメージです。

リハビリ後の帰り道と、ほんの少しの希望

リハビリが終わったあとは、再び帰路につきます。

行きよりも疲れがたまっているぶん、帰り道はさらにきつく感じました。ふくらはぎ上部の痛みが鋭くなり、何度も立ち止まりながらの帰宅です。本当につらかったです。

途中で我慢できなくなり、駅のホームでズボンを思い切りまくり上げ、そこで包帯を巻き直しました。巻いた直後は少し楽になった気がするのですが、時間がたつと今度は締め付けが強くなり、また別の痛み方をしてきます。

その場その場でできることを必死に試しながら、なんとかやり過ごしていたのだと思います。

自宅の最寄り駅に着いたとき、本当なら歩いて帰るつもりでしたが、その気力はもう残っていませんでした。素直にタクシーに乗り込み、今回は無理をしない選択をしました。

こうして、退院後初めての「少し遠出」は、どうにか無事に終えることができました。

ふくらはぎの痛みも、膝の不安も、まだまだこれからです。先は長いとわかっているぶん、正直しんどさもあります。

それでも、主治医の先生やスパルタン先生の話を聞いたことで、「この痛みには理由がある」「時間をかければ、きちんと良くなっていく」という小さな希望が見えてきました。

早く良くなって、またコートに立てるようになりますように――そんな願いを込めながら、この日のリハビリの一日が終わりました。

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