
復帰直前、ようやくコートに戻れたときの気持ち
どうも、えすひろです。
前十字靭帯の手術から時間がたち、ようやく対人プレーの許可が出たのが、およそ術後7か月くらいの頃でした。長かったリハビリの時間を思い返しながら、「いよいよここまで来たんだな」と、コートに立つだけで胸がいっぱいになったのを覚えています。
とはいえ、膝まわりの不安感がゼロになったわけではありません。全力でのプレーにはまだ踏み切れず、うれしさと不安がいつもセットになっているような感覚でした。
それでもボールを追いかけて走れる、みんなと同じコートに立てる。それだけで「バスケットってやっぱり楽しいな」と何度も心の中でつぶやいていました。
最初の1か月は“チキンプレー”で少しずつ慣らしていく
私のポジションは接触プレーが多く、どうしても相手とのぶつかり合いが避けられません。復帰して最初の1か月くらいは、意識的に無理をしない“チキンプレー”を徹底していました。
オフェンスではゴール下に突っ込むようなプレーは控えて、外でもらってミドルシュート中心。ディフェンスも、急激な切り返しや無理なステップは避けて、相手の動きに合わせて流しながらついていくイメージでプレーしていました。
もちろん、毎日バスケットができるわけではありません。コートに立てない日は、自宅やジムでの筋トレやフットワーク練習をコツコツ続けていました。復帰後も、生活の一部としてトレーニングを続けていた感覚です。
膝の内側の違和感と、頭の中で続く「大丈夫かな?」という声
この頃の私には、膝の内側に何とも言えない違和感が残っていました。チクッとしたり、引っかかるような感覚があったり、プレー後に重たく感じる日もあったり。
それでも当時の私は「久しぶりに動いているからかな」「そのうち慣れていくはず」と、自分に言い聞かせながらプレーを続けていました。頭のどこかで「無理はしないほうがいいよ」と警報が鳴っている一方で、「早く元通りに動きたい」という気持ちもどんどん大きくなっていきます。
術後8か月を過ぎた頃には、先生から「実戦に近い動きも少しずつ取り入れていいですよ」という話もあり、私はうれしさ半分、不安半分の気持ちで少しずつプレーの強度を上げていきました。
あの瞬間に起きた「ゴリッ」といういやな感覚
転機になったのは、復帰に向けて実戦的な動きを始めてから、ひと月ほどたった日のことです。その日は調子が良く、横の動きにも膝がしっかりついてきてくれていました。
「もう少し激しく動いても大丈夫かもしれない」
そんな気持ちが少しずつ顔を出してきて、正直、流し気味のプレーでは物足りなさも感じ始めていました。
そのとき、リングで弾かれたボールが高く上がり、私はリバウンドを取りに少しだけ強めにジャンプしました。問題は、その着地の瞬間です。
「ゴリッ」と、膝の中で何かが引っかかったような感覚が走り、膝がまっすぐ伸びなくなってしまいました。手術前に経験した「ロッキング」と呼ばれる状態に、どこか似ているように感じた瞬間でした。
幸い、そのときは以前よりも軽い感覚で、少し時間をかければ自分で伸ばせる状態でした。それでも、伸ばした後に残る鈍い痛みと、「また何かあったのかもしれない」という不安が一気に押し寄せてきました。
プレーを続ける気持ちにはとてもなれず、その日はそのままコートをあとにしました。帰り道、今までのことを思い出したのと今後のことを考えて、絶望と悔しさで自然と涙が出てきたのを覚えています。

動き始めの引っかかりと、病院に行くかどうか迷った日々
その出来事から数日たった頃、動き始めのタイミングで、膝の内側に引っかかるような感覚がほぼ毎回出るようになりました。日によっては、ふとした動きで鋭い痛みを感じることもありました。
「病院に行ったほうがいいかな」と思いながらも、仕事との調整や、また検査を受けることへの怖さもあって、すぐに動き出せずにいたのが正直なところです。
手術前に感じていたような、グラグラした不安定さまではありませんでしたが、「あのときの感覚に少し似ているな」という不安はずっと心の中にいました。半月板まわりが大丈夫なのかどうか、はっきりしないまま日常を過ごしている感じです。
「また手術になったらどうしよう」
「このままの状態で、本当に復帰できるのかな」
そんなネガティブな想像が頭から離れず、気持ちだけが先に疲れてしまうような日も多かったです。
同じように不安を抱えている人へ伝えたいこと
この時期の私は、膝の状態そのものよりも、「またあの入院生活や手術を繰り返すことになるかもしれない」という不安に押しつぶされそうになっていました。
もし、当時の私のように、復帰直前に違和感や不安を感じている人がいたとしたら、まずは「不安に思うのは普通のこと」だと伝えたいです。長くリハビリを続けてきて、やっと戻れると思ったタイミングでの違和感は、どうしても心に刺さります。
私はしばらくの間、膝の様子を見ながら生活しつつ、自分の気持ちとも向き合う時間を過ごしました。どう動くのか、誰に相談するのか、どのタイミングで次の一歩を踏み出すのか──全部を一気に決めなくても、少しずつ考えるしかありませんでした。
このあと、私がどう行動していったのか、その結果どうなったのかは、次の記事で続けて書いていきたいと思います。同じように復帰を目指している方の、心の整理のヒントになればうれしいです。

