
退院から1か月、ひたすらリハビリの日々
半月板の再縫合手術から退院して、だいたい1か月くらい経ったころ。気づけば毎日リハビリばかりしている時期がありました。
なぜそこまでリハビリに打ち込んでいたかというと、単純に「ほかにできることが少なかったから」です。
外を長時間歩き回るには、まだ膝やふくらはぎの痛みが残っていて不安。でも、だからといって一日中なにもしないでいるのはつまらない。そんな気持ちの行き場が、そのままリハビリへのモチベーションになっていきました。
このころにやっていた基本メニューは、退院直後から大きくは変わりません。
- 膝の曲げ伸ばし
- 足上げ(いわゆるストレートレッグレイズ)
- スクワット
地味で単調な動きですが、半月板手術後のリハビリはこうした「地味な積み重ね」をコツコツ続けるしかありません。やっているときはあまり変化を感じないのですが、振り返るとこの時期の積み重ねがあとあと効いてきたと感じています。
自重トレーニングに物足りなさを感じ始めたころ
しばらく続けていると、だんだんと自重だけのトレーニングに物足りなさを感じるようになりました。
「もう少し負荷をかけても大丈夫そうだな」と思えるようになってきたタイミングで、私は自宅にあったアンクルウエイトを使い始めました。何度かブログにも登場している、重さ2kgのアンクルウエイトです。
この2kgの重りは、前十字靭帯手術から半月板の再損傷、その後の再手術を通して、一番お世話になったリハビリ道具と言ってもいいくらいです。使用頻度もダントツで、心強い相棒でした。
これから手術を控えている方に「何か1つリハビリ道具を用意するなら?」と聞かれたら、私はアンクルウエイトをおすすめしたいくらいです。ただし、どのタイミングで使い始めて良いかは人それぞれなので、実際に負荷を上げるときは必ず主治医やリハビリの先生に相談してください。
アンクルウエイトを使った自宅リハビリ
私が実際に使っていたアンクルウエイトは、写真のようなタイプです。

これを片足に2つとも巻きつけて、いつものリハビリメニューをこなしていました。たった2kgとはいえ、足先からの負荷になるので、筋肉にはしっかり効いてきます。
足上げや膝の曲げ伸ばし、軽めのスクワットなど、今まで自重でやっていたメニューにアンクルウエイトをプラスするだけでも、トレーニング後の疲労感が変わってきました。「あ、今日はちゃんとやったな」という感覚があります。
無理をすると逆に膝を痛めてしまうので、
- その日の体調や膝の状態を見ながら負荷を調整する
- 痛みが強い日はすぐにやめる、もしくは自重トレーニングに戻す
- 不安があるときはリハビリの先生に確認する
このあたりを意識しながら、少しずつ負荷を上げていきました。
アンクルウエイトについては、別記事で詳しくまとめています。興味があれば、こちらも参考にしてみてください。
アンクルウエイトが退院後の家トレで役立った理由と私の体験レビュー
10kgダンベルを使ったハーフスクワット
家には、なぜか10kgのダンベルも転がっていました。これを活用しない手はないと思い、肩に担いでスクワットも取り入れていきました。
とはいえ、半月板を縫っている状態で深くしゃがみ込むのはかなり怖いです。縫った半月板に過度な負担がかかると、またどこかで傷めてしまうのではないかという不安もありました。
そこで私は、
- しゃがみ込みは浅めの「ハーフスクワット」まで
- スピードを上げず、ゆっくりとコントロールして動く
- 膝の痛みや違和感が出たらその場で中止する
といったルールを自分の中で決めて行っていました。
自重のスクワットに慣れてきた体にとって、10kgのダンベルはかなり良い刺激になります。「筋肉を戻している」という感覚が得られるのも、メンタル的にはプラスでした。
筋トレは「治療の一部」という感覚で
こうして筋トレを続けていくうちに、太ももの太さは少しずつ戻ってきました。退院から1か月ほどの時点で、「あ、だいぶ戻ってきたな」と実感できるくらいにはなっていました。
もちろん、健側(ケガをしていない足)と比べると、まだまだ細くて頼りない感じです。それでも、手術直後の「棒のような足」と比べれば、ずいぶんマシになったと思います。
この時期は、日常生活の中でどうしても患側の足をかばってしまいがちです。歩くときも立ち上がるときも、無意識のうちに反対の足に体重を乗せてしまうので、何も意識しないとあっという間に筋肉が落ちてしまいます。
だからこそ、意識的に時間を取って筋トレをすることが大事だと感じていました。筋肉がついてくると、復帰したときに膝への衝撃を和らげることにもつながりますし、なにより「自分でできることをやっている」という安心感が違います。
「筋トレ=リハビリの一部」ではなく、「筋トレ=大事な治療の一部」という感覚に近いかもしれません。
半月板損傷手術後の復帰目安(私が受けた説明)
半月板損傷の手術をしたあとの復帰スケジュールについては、主治医やリハビリの先生からこのようなイメージで説明を受けました。
- 手術から約3か月:軽い運動の開始が目安
- 手術から4~5か月:復帰に向けた本格的な練習をスタート
もちろん、これはあくまで私の場合の一例であり、手術の方法や損傷の程度、年齢や元々の体力などによって前後します。
半月板の除去手術の場合は、もう少し早く運動再開が可能なケースもあると聞きました。ただ、その分だけ負担も大きくなる可能性があるので、メリットとデメリットを主治医とよく相談して決める必要があると感じています。
前十字靭帯の再建手術と比べると、半月板単独の手術は復帰までの期間がかなり短く感じました。私の場合、前十字靭帯のときと比べると、感覚的にはほぼ半分くらいのスピード感です。
「前十字のときより早くコートに戻れるかもしれない」と思えるだけでも、リハビリに対するやる気はだいぶ違いました。
「半月板は完全には元通りにならない」と言われたこと
一方で、主治医からはこんな説明も受けました。
半月板は手術をしたからといって、完全に元通りになるわけではないそうです。縫合しても、きれいにくっつかない場合もあると聞きました。
そこで重要になってくるのが周りの筋肉です。
膝まわりの筋肉をしっかりつけておくと、運動時の衝撃をやわらげることができ、その分だけ半月板への負担も軽くできると説明されました。完全にリスクをゼロにできるわけではありませんが、「筋肉で膝を守る」というイメージです。
だからこそ、退院から1〜2か月の間は、焦って走りたくなる気持ちをぐっとこらえて、地味な筋トレを積み重ねる期間だと割り切っていました。
術後2か月、いよいよジョギング解禁

手術から2か月ほど経ったころ、リハビリの先生から「そろそろジョギングを始めてみましょうか」と言われました。久しぶりに「走っていい」と言われる瞬間は、やっぱりうれしいものです。
とはいえ、喜びの勢いだけでいきなり外を走り回ったわけではありません。実際に外でジョギングを始めたのは、そこからさらに1週間ほどあとでした。
まずは「走る感覚を思い出すところ」からスタートです。
- 玄関先など、その場でジョグをする
- 初日は10分×1セットを目安に
- 慣れてきたら、最大で10分×3セットまで
- これを一週間、毎日続ける
正直、地味です。外に出て景色を見ながら走るわけでもなく、その場で足踏みしているだけです。でも、膝にかかる負担を少しずつ増やしていくには、この「その場ジョグ」がちょうど良かったように感じます。
初めて外を走るときに意識していたこと
その場ジョグを一週間続けたあと、いよいよ外でのジョギングを再開しました。
とはいえ、この段階でもまだ半月板や膝に対する不安はかなりありました。そこで、最初のうちは次のようなことを意識して走っていました。
- スピードはかなりゆっくり
- できるだけ直線コースを選ぶ
- カーブや曲がり角は歩く
- 距離は欲張らず、短めからスタート
- 日を追うごとに、少しずつ距離を伸ばしていく
特に、方向転換の動きは膝に負担がかかりやすいと感じていたので、曲がるときは走らずにしっかり歩いていました。
ジョギング中に膝に痛みや違和感を感じたら、それは「そろそろ限界かな」というサインだと考えて、すぐにペースを落としたり、その日は切り上げたりしていました。
まだまだ復帰までには時間があります。ここで無理をして逆戻りしてしまうより、少し物足りないくらいでやめておく方が、長い目で見ればプラスだと今は思っています。
焦らず、でも止まらず。リハビリは「続けた人が強い」
半月板のリハビリ期間中は、どうしても「早く元のプレーに戻りたい」「前みたいに動きたい」という気持ちが先行しがちです。私も何度も焦りそうになりました。
それでも、実際にやってみて感じたのは、
- 一気に頑張るより、「少しずつでも止めないこと」が大事
- 膝の状態に合わせてメニューを変えながら、長く続けることが大事
ということでした。
アンクルウエイトやダンベルを使った筋トレ、その場ジョグやゆっくりしたジョギングなど、やっていることはどれも派手ではありません。それでも、こうした積み重ねがあったからこそ、次のステップ(体育館での練習や対人プレー)に進めたのだと思います。
これからリハビリを続けていく方も、焦る気持ちが出てくると思いますが、膝の声を聞きながら、できるペースでコツコツ続けていきましょう。


