
半月板手術後の初練習で見えた2つの課題
半月板の再縫合手術からおよそ5か月半。前十字靭帯の断裂から数えると、すでに1年7か月という長い時間が経っていました。
この日、ついに私はバスケットボールの本格練習に復帰する一歩を踏み出しました。
まだ完璧ではない膝の状態
正直にいえば、膝の状態は「万全です」とは言えませんでした。
- 深く膝を曲げると、まだはっきりとした違和感が出る
- 曲げた状態をキープしていると、鈍い痛みが出てくる
- 膝のある一点を押すとチクっと痛む場所が残っている
- すねの骨のあたりにも、手術後から続く独特の痛みがある
文章にすると「とても復帰できる状態ではないのでは?」と思うかもしれません。ただ、以前のように顔をゆがめるほどの鋭い痛みではなく、うまく付き合えば何とかプレーできそうだと感じていました。
前十字靭帯用の装具をつけてコートへ
この日は念のため、前十字靭帯の手術時に病院で作ってもらった膝の装具を巻いて練習に参加しました。料金は約6万円。金属フレームが入った、かなりしっかりとしたタイプです。
本当は半月板の保護を意識したスポーツ用サポーターを新しく購入してから復帰するつもりでしたが、直前で仕事が入ってしまい買いに行く時間がなくなってしまいました。そこで、今回はこの装具に頼ることにしました。
もともとは前十字靭帯を守るためのものなので、半月板にどこまで効果があるかは分かりません。それでも、「何もつけずにコートに立つよりはずっと安心できる」――そんな気持ちで装着しました。
術後初めての対人練習
久しぶりのチーム練習。最初は軽くシュート練習やランニングからスタートしました。ボールの感触、体育館の床の反発、シューズがきしむ音……ひとつひとつが懐かしく、同時に少し怖くもありました。
チームメイトは、私の膝の状態を知っています。きっとやりづらかったと思いますし、気を遣わせてしまったと思います。それでも「よくここまで戻ってきたな」と声をかけてくれて、本当にありがたかったです。
恐怖心とブランクの大きさ
対人形式の練習が始まると、頭では分かっていても身体がついてきません。特に、
- 急なストップや切り返しの瞬間に膝が壊れそうな気がして、無意識にスピードを抑えてしまう
- ゴール下で接触が起きそうな場面では、身体が一歩引いてしまう
私のポジションはセンターです。本来なら、ゴール下でリバウンド争いやポストプレーをしっかりやらなければなりません。しかしこの日は、ゴール下にいてもリバウンドに飛び込めなかったり、コンタクトを避けてしまったりと、かなり守りに入ったプレーになっていました。
本音を言うと、もっと動きたかったです。ただ、主治医からは「もしまた半月板を損傷したら、今度は除去手術になってしまうかもしれない」と言われています。そうなれば競技人生に大きな影響が出るのは間違いありません。
だからこそ、友人たちからも「今日は感覚を掴む日。張り切りすぎるな」「まずは膝をコートの感覚に慣らしていこう」と、何度も釘を刺されていました。私自身も、その言葉に助けられながらプレーを抑えめにして一日を終えました。

初練習で見えた2つの大きな課題
こうして術後初の対人練習を無事に終えてみると、今の自分にはっきりと見えた課題がありました。まとめると、次の2つです。
課題1:右脚の筋力不足
一番分かりやすかったのが、患側である右脚の筋力不足です。
- 中腰の姿勢をキープしていると、右脚だけプルプルと震えてしまう
- 一歩目の踏み込みやストップ動作で、右脚にしっかり体重を乗せるのが怖い
- ジャンプの踏み切りで、無意識のうちに左脚に頼ってしまう
リハビリで筋トレは続けてきましたが、「ゲームの中で全力を出す」レベルにはまだ達していないと痛感しました。特に、
- ハーフスクワットやランジなど、膝を守りながら太ももを鍛えるトレーニング
- カーフレイズや片脚立ちなど、足首からふくらはぎにかけての安定性を高めるメニュー
- 体幹トレーニングによる、上半身と下半身をつなぐ力の強化
このあたりを、もう一段階ギアを上げてやっていく必要があると感じました。
課題2:下半身全体の硬さ
もうひとつの大きな課題が、下半身の柔軟性です。もともと身体は硬い方でしたが、長いリハビリ期間を経て、さらにガチガチになっていました。
特に気になったのは、
- ハムストリングス(もも裏)が伸びず、前屈するとすぐに突っ張る
- 股関節の可動域が狭く、ディフェンスのスライドやステップの幅が小さくなる
- お尻まわりの筋肉が硬く、ターンや方向転換で動きがぎこちない
この状態で無理にプレーを続ければ、半月板だけでなく、アキレス腱やふくらはぎ、腰など別の場所を痛めるリスクも高くなります。
そこで、今後は筋トレと同じくらい「ストレッチ」にも比重を置いていくことにしました。
これから取り組む具体的なトレーニング
筋力強化の方針
筋トレに関しては、次のような方針で行っていくつもりです。
- 患側の右脚を意識した片脚メニューを増やす
- 膝に負担をかけすぎない範囲で、回数と負荷を少しずつ増やす
- 週に数回、バスケットの動きを意識したステップ・ジャンプドリルを取り入れる
一気にレベルを上げるのではなく、膝の様子を見ながら段階的に負荷を上げていくイメージです。
柔軟性アップのためのストレッチ
ストレッチについては、
- 入浴後に、もも裏・お尻・ふくらはぎ・股関節を中心にじっくり伸ばす
- 練習前後のウォーミングアップ・クールダウンに、動的ストレッチと静的ストレッチを取り入れる
- 屈伸やあぐらのような、膝を深く曲げる動きは痛みを見ながら慎重に行う
このあたりを「リハビリの一部」として、習慣化していきたいと考えています。
半月板を守りながら完全復帰を目指す
主治医からは「もしまた半月板を損傷したら、次は除去手術になるかもしれない」と言われています。その言葉は、今でも頭のどこかに残ったままです。
だからこそ、焦らず、でも確実に前に進むことが大事だと思っています。
- 少しでも違和感が強くなったら無理をしない
- 翌朝の膝の状態をチェックして、前日の負荷を調整する
- 「怖さ」をごまかさず、徐々に成功体験を積み重ねていく
この3つを意識しながら、半月板を守りつつレベルを上げていきます。
まとめ:復帰への大きな一歩と、これからの課題
術後初めての対人練習は、恐怖や不安もありましたが、同時に大きな手応えも感じる時間でした。何より、
- 全力ではないにせよ、コートを走り回ることができた
- 強めのジャンプやストップ動作にも、膝が耐えてくれた
- 久しぶりにチームメイトと同じ空間でバスケットができた
この事実だけでも、私にとっては大きな収穫です。
そのうえで、
- 右脚の筋力不足
- 下半身全体の硬さ
という2つの課題がはっきり見えました。ここを一つひとつ解決していくことが、完全復帰への最短ルートだと思っています。
まだ道のりは長いですが、今回の練習参加は、確実に「復帰への大きな一歩」になりました。これからも、膝と相談しながら少しずつ前に進んでいきます。

