
バスケット復帰の日。3月26日、2年ぶりの「試合」に立った
2017年3月26日。私にとって、忘れられない日になりました。
前十字靭帯の再建術を受け、さらに半月板のトラブルも経験し、遠回りしながらも積み重ねてきた時間。
その区切りとして、ついに「試合」に出る日がやってきたんです。
大会とはいえ、出場チームが少なく、上の大会に進むチームがすでに決まっているような、いわゆる親善試合に近い雰囲気のイベントでした。
ただ、私にとっては関係ありません。自チーム以外とガチで当たるのは久しぶり。
「これが復帰戦だ」と思うだけで、前日から心が落ち着きませんでした。
しかも前夜、なぜか手術した膝が少し痛い。さらに当日は雨。
不吉な条件が揃っていく感じがして、正直、気持ちは揺れました。
※この記事は医療的な助言ではなく、私個人の体験記です。症状や回復過程は人によって異なります。
会場到着。久々の再会が、復帰の実感を連れてくる
集合時間に少し遅れて会場入り。大物が遅れて登場する…のではなく、寝坊しただけです。
でも会場に入った瞬間、空気で分かりました。ああ、戻ってきたんだな、と。
他チームには、2年以上会っていなかった人もいて、久々の再会とともに声をかけてもらいました。
「おかえり」「よく戻ってきたね」みたいな言葉をもらうと、そこで不安が一段薄くなります。
復帰って、身体だけじゃなくて、こういう“場に戻る感覚”もセットなんだと思いました。
会場到着からあまり時間がないまま、試合が始まる流れ。アップ不足の予感が、ここで現実になります。
対戦相手は強豪。しかもスタメンに自分の名前があった
相手は、すでに上の大会に進むことが決まっている強豪チーム。知っている人も多い。
ただ、このチームは「病み上がりだから手加減」みたいなことをしない。そこが怖い。
正直、組み合わせを聞いた瞬間「危ないからやめようかな…」と一瞬よぎりました。
でも、ここまで来たんだから。復帰したい一心で参加を決めていたし、その気持ちは変わりませんでした。
そしてスタートメンバーの発表。
そこに自分の名前がある。ほぼ2年ぶりの試合で、相手は強豪。なのにスタメン。
ちょっとした恐怖が来ました。
いよいよ試合開始。復帰戦は「不安材料のフルセット」だった
会場に着いてロクにアップできないまま試合開始。
「いつも通り」と言えばいつも通りですが、復帰戦でこのアップ不足はさすがに不安でした。
この日の不安材料を並べると、わりと揃っています。
- 2年ぶりの試合(ブランク)
- 前日の膝痛
- 当日の雨(会場までの移動で冷える)
- フォーミングアップ不足
今思うと「それ、出る条件としては危ない寄りじゃない?」って自分でも思います。
でも、現場はいつだって理想通りに進まない。だからこそ、そこでどう自分を制御するかが大事でした。
第1ピリオド:動けない。感覚が戻らない。焦りが出る
開始直後、相手は当然ゴリゴリ来ます。私のマッチアップも、堅実なディフェンスとポストプレイが得意なタイプ。
正直、私が得意な相手ではありません。
そして、やっぱりブランクの影響は出ました。
感覚が戻らず、プレイが遅い。判断がワンテンポ遅れる。パワー負けも繰り返す。
10分が長い。久々の試合の“現実”をいきなり叩きつけられました。
それでも、途中で気づいたことがあります。タイムアウト中に頭を整理して分かったのは、重心でした。
筋トレは続けてきた。パワーがゼロになっているわけじゃない。
なのに負ける。なら原因は何か。
答えは「棒立ち」でした。重心が高い。だから力が出ない。だから接触で負ける。
そこからは意識して、重心を落として当たる。するとパワー負けが減って、リバウンドも少しずつ取れるようになる。
結局、チームは11-25で出遅れ。自分の得点は2点。内容としては悔しい第1ピリオドでした。
そしてこの時点で、体力メーターが明らかに削られている感覚がありました。
膝よりも先に、心肺が不安になってくる。復帰戦あるあるです。
第2ピリオド:体力が底をつく。早すぎる「限界」
第2ピリオドは、展開としては拮抗してきます。離されない。追いつけない。耐える時間。
私はディフェンスとリバウンドで踏ん張ろうとして、重心を落としてゴリゴリ当たりにいきました。
ただ、それが仇になったのかもしれません。開始4分くらいで、体力が底をつきました。
走れない。息が戻らない。感覚的に「このまま続けると危ない」ラインを超えそうになる。
タイムアウトで止めてもらい、その後は一度ベンチへ。
復帰戦で一番痛いのは、膝よりも「体力がない現実」だったりします。
前半は24-35。自分の得点は第2で5点。たまたま打った3Pが入って助かった場面もありました。
でも、点よりも「今の自分は、試合の強度に心肺が追いついていない」ことがはっきり分かりました。
第3ピリオド:少し回復。身体が「思い出す」時間
ハーフタイムの10分は大きいです。息が戻り、頭も冷静になる。
ここからは体力の配分を考えて動くことにしました。
そして少しずつ、身体が試合を思い出してきます。
体を当てる、反転する、ステップインする。いわゆる「体全体でやる動き」が出てくる。
この感覚が戻ってくると、復帰戦は一気に楽しくなります。
相手も熱が入ってきて、接触が増える。空中で体勢を崩される場面も出る。
それでも膝はついてきてくれた。ここが一番、嬉しかったポイントでした。
チームは41-44まで詰める。自分の得点は5点。
シュートは相変わらず入らないけど、ディフェンスとリバウンドで「自分の役割」は戻ってきた感覚がありました。
第4ピリオド:苦しい。でも、楽しい。最後まで立っていられた
最終ピリオド。相手はさすが強豪で、疲れても崩れない。こちらは気持ちで食らいつく。
私は相変わらずシュートが決まらない。でも、当たりにはいける。重心も落とせている。
ただ、体力はやっぱりまた底をつきます。頭痛が出てくるくらい苦しい。
それでも、久々の試合は本当に楽しくて、最後まで走り切りました。
最終スコアは59-59。同点。公式戦なら延長ですが、この日は親善試合のような形式で終了。
勝ちでも負けでもないけど、私にとっては「負けていない」のが大きかったです。
復帰戦で、最後まで立って、走って、当たって、終えられた。
それだけで十分、成功だと思いました。
復帰戦を振り返って:良かったこと、課題、そして次へ

スコアシートの向かって左側が私のチームで、11番が私です。
1試合を通して、私は19点の得点を入れることができました。後から聞いたのですが、相手チームから復帰戦の私に多くの点を入れられたことが非常に悔しいと話していたそうです。
何よりも、ケガなく終えられたこと。これが最大の成果です。
そして「重心を落とす」という基本を、試合の中で思い出せたことも大きい。
一方で課題は明確です。
体力。これに尽きます。復帰戦は気持ちでどうにかできても、継続して試合に出るなら心肺を作らないといけない。
膝を守る意味でも、息が上がってフォームが崩れる状態は避けたいです。
膝の状態は、多少の痛みはあっても大きな問題はなさそうでした。
走れるって、当たり前じゃない。
この2年間の苦行が、少し報われた日でした。
ただ、ここで慢心するとまたやらかす。これは自分が一番分かっています。
だからこそ、筋トレと体力強化は引き続き続けます。復帰は「ゴール」じゃなく「次のスタート」でした。
今後も書き続けます
ここで終わりにするつもりだった時期もありました。
でも、応援してくれる人がいて、そして自分自身が「記録として残したい」と思えるようになった。
バスケのこと、筋トレのこと、体力作りのこと。日記みたいな日もあると思いますが、まだ書きます。
また、前十字靭帯や半月板のこと、入院や生活の工夫など、体験ベースでまとめられる内容があれば、再生ノートも増やしていきます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
これからも、よろしくお願いします。
