辛いけど手術を選んだ理由|前十字靭帯・半月板損傷を経験して感じたこと
前十字靭帯・半月板損傷を経験し、保存療法と手術の選択に悩みながらも前に進もうとする筆者の心境を表したイラスト

辛いけど手術をした方が良い理由|前十字靭帯・半月板損傷の体験談

前十字靭帯や半月板を痛めたとき、多くの人が最初にぶつかるのが「手術にするか、保存療法にするか」という選択だと思います。
痛みがあるだけでもつらいのに、そこに「通院」「仕事や学校との両立」「リハビリの継続」「復帰までの期間」という現実がのしかかってきます。
正直、頭が真っ白になります。私はまさにそうでした。

この記事は、医療の専門的な解説を目的としたものではなく、私自身が前十字靭帯と半月板の損傷を経験し、悩んだ末に手術を選び、その後の苦しさと納得感を実感したという、一次体験を中心にまとめたものです。
症状や最適な方針は人によって違いますし、手術の必要性を断定する意図もありません。最終判断は必ず主治医と相談してください。
ただ、「迷っている」状態の人にとって、体験談として参考になる部分があればと思い、できるだけ丁寧に書きます。

結論:短期の「早く戻りたい」を最優先にすると、遠回りになりやすい

いきなり結論から言うと、私は今振り返って「迷うなら手術を前向きに検討した方がいい」と思っています。
理由は単純で、私は一度、保存療法で「早く復帰しよう」として、結果的に悪化させてしまったからです。
当時は「少し痛みが落ち着いてきた」「歩ける」「動ける」その事実だけで、心が前のめりになりました。けれど、膝の中の状態は、気持ちと一致していないことがあります。

もちろん、保存療法が合うケースがあるのも理解しています。軽度の損傷だったり、スポーツをしない生活で支障が少なかったり、様々な事情があると思います。
ただ、少なくとも私が経験したのは、「不安定感を抱えたまま、無理に戻ろうとすることのリスク」でした。
そしてそのリスクは、結果的に「復帰までの総時間」を増やしてしまう可能性があります。

私も一度は保存療法で復帰しようとした

私は最初から「手術しかない」と腹をくくれていたわけではありません。むしろ逆で、できるだけ手術は避けたいと思っていました。
理由は、手術が怖いから、痛そうだから、という感情面ももちろんあります。
でも一番大きかったのは、現実的に「時間を持っていかれる」ことでした。

仕事や生活の予定、運動の予定、周りのチームの状況。いろいろ考えれば考えるほど、「できるだけ早く戻りたい」が正義のように見えてきます。特に、私の場合、当時はプロテストを控えていたこともあり、手術をすると確実に間に合わなくなるので一度は保存を選択しました。
そして、少し良くなった気がすると、「戻れるかもしれない」という期待が膨らむ。
この流れが、判断を難しくします。

練習再開後、すぐに悪化させた(ロッキング)

痛みがある程度引いてきたタイミングで、私は先生の指導も受けながら練習を再開しました。
「慎重にやっていけば大丈夫だろう」と思っていたのですが、ある日、ジャンプして着地した瞬間に激しいロッキングを起こし、明らかに状態が悪化しました。

ここで感じたのは、恐怖と後悔です。
「やってしまった」「戻ろうとしたのが早かったのかもしれない」
でも同時に、頭の中には「早く戻りたい」「こんなことで止まっていられない」という焦りもあり、感情がぐちゃぐちゃになります。

いま振り返ると、この時点で私は選択を間違えたと思っています。
ケガをしたことは仕方がない。
でも、ケガをした後の行動には、自分の判断が介在します。私はそこで、短期の希望を優先してしまいました。
結果として、復帰までの道をさらに厳しくした可能性が高いと感じています。

だからこそ、この記事で伝えたいのは「怖いから手術しろ」という話ではなく、「焦って戻る判断は、結果的に遠回りになり得る」という現実です。

手術を選ぶと、確実に「時間」を使う。だからこそ悩む

前十字靭帯と半月板損傷の治療方針に悩む青年が、ソファに座って膝のサポーターを見つめながら葛藤している様子のイラスト
前十字靭帯と半月板損傷を受け、保存療法か手術かで深く悩む当時の心境を表したシーン。

手術を選ぶ最大の壁は、やはり時間だと思います。
運動をする人にとって、半年や8か月という期間は簡単に割り切れません。学生なら大会や引退の時期がありますし、社会人なら仕事や家庭があります。

私の場合、当時の感覚としては、半月板の手術で約半年、前十字靭帯の手術で少なくとも8か月くらいは「競技に戻るまで時間がかかる」というイメージでした。
もちろん、実際の期間は状態や術式、リハビリ計画、個人差で変わります。ここはあくまで「当時の私が感じていた重さ」として読んでください。

運動ができない時間が、精神的にきつい

運動を続けてきた人ほど、動けない期間が精神的につらいと思います。
体が落ちていく感覚、筋肉が減っていく感覚、体力が落ちていく感覚。
そして何より、「周りは進んでいるのに自分だけ止まっている」感覚が、じわじわ効いてきます。

私は、運動をしない人と比べれば、筋力が落ちることへの抵抗感が強かったです。
積み上げてきたものが、ケガをきっかけに崩れていく。
これを受け止めるのは、簡単ではありませんでした。

感覚は戻りそうなのに、体が戻らない「ズレ」

厄介なのは、頭の中のイメージは残ることです。
「こう動きたい」「こう踏み込みたい」そういう感覚はあるのに、体がついてこない。
このズレがあると、「やれば戻るんじゃないか」と思ってしまい、さらに焦りが増えます。

だから、手術を選ぶかどうかの判断では、単に期間の長さを見るのではなく、長い目で見た納得感も含めて考えた方が良いと私は思います。
時間を使うのは確かですが、それが将来の安心感につながるなら、意味のある期間になります。

手術は痛いし、リハビリはつらい(きれいごとは言わない)

手術に踏み切ると、次に待っているのは「痛み」と「リハビリ」です。
ここは正直に言います。つらいです。
ただ、つらいからこそ、事前にイメージしておくと気持ちが折れにくいと思います。

手術前から「準備」が必要になることがある

当時の私は、「どうせ手術したらまた筋力が落ちるのに、なんで手術前に頑張るの?」と思っていました。
でも実際には、スムーズにリハビリへ移行するために、できる範囲で準備をすることが求められる場面があります。
(ここも、具体的な内容は主治医や理学療法士の指示が最優先です)

ケガをしている時点で筋力が落ちているのに、そこに「さらに頑張る」が乗る。
痛みや違和感がある中での運動は、やっている本人からすると本当にしんどいです。
「これ、意味あるのかな」と思う瞬間もありました。

手術直後は「不自由さ」と「痛み」がセットで来る

手術中は麻酔があるので、手術そのものの痛みは大きくありませんでした。
ただ、手術後は別です。麻酔が切れてくると、痛みと不自由さが一気に現実になります。

動かすのが怖い。動かすと痛い。思うように力が入らない。
そして、体が思うように動かない状態で「歩く」や「荷重」などのリハビリが始まると、精神的にも追い込まれます。
当時の私は、「これ、本当に戻れるのか」と不安になった日が何度もありました。

退院後も、リハビリは続く。地道さとの戦い

退院したら終わりではありません。むしろそこからが長いです。
日常生活をしながら、リハビリを継続する。
しかも、成果が毎日目に見えて出るわけではありません。

最初は痛みや恐怖心があります。少し落ち着くと今度は、単調さや飽きがつらくなります。
「昨日と同じことをしているのに、何が変わったのか分からない」
この感覚が続くと、モチベーションが落ちます。

それでも、続けるしかない。
私はこの期間で、気合いだけでは乗り切れないことを学びました。
気合いが落ちた日でも、ゼロにしない。少しでも積み上げる。そういう発想が必要でした。

それでも私が「手術をしてよかった」と思う理由

前十字靭帯と半月板の手術後、包帯を巻いた患側の膝でリハビリに励む青年が、ゴムバンドを使ってトレーニングしているイラスト
前十字靭帯・半月板手術後、包帯が巻かれた膝で懸命にリハビリに取り組む姿を描いたシーン。

ここまで読むと、「つらい話ばかりで、手術は地獄じゃないか」と思うかもしれません。
でも、私が最後に伝えたいのは、それでも手術をしてよかったということです。

私は復帰までにかなり時間がかかりました。
途中で気持ちが折れかけたこともありました。
それでも、最終的に「やってよかった」と思えるのは、手術を経て得られた感覚があったからです。

「待ってくれている人」がいることに、後から気づく

スポーツをしている人には仲間がいます。
私は復帰後に、思いがけない人から「戻ってきたね」「よかったね」と声をかけられました。
対戦相手としてしか知らなかった人から言われたこともあります。

当時は自分のことでいっぱいいっぱいで、周りの気持ちを想像する余裕がありませんでした。
でも、復帰してから分かりました。
自分が思っている以上に、待ってくれている人はいます。

「ビクビクしながら動く」状態は、心から楽しくない

私は保存療法で戻ろうとした短い期間に、強く感じました。
「再受傷に怯えながら動くのは、楽しくない」と。

一つ一つの動きを気にして、全力で踏み込めない。止まれない。切り返せない。
周りにも気を使わせる。自分も気を使う。
結果、プレー自体が萎縮していきます。

手術後も慎重さは残ります。そこは現実です。
でも、安定感があることで、意識を「膝の恐怖」ではなく「プレーそのもの」に向けられるようになりました。
この差は、私にとってとても大きかったです。

「やり直せる」感覚が、生活全体を前向きにする

膝の不安定感があると、スポーツだけではなく日常生活の中にも小さな不安が積み上がります。
階段、段差、人混み、急な方向転換。
そういう場面で毎回気を張っていると、地味に疲れます。

手術後に少しずつ動けるようになっていくと、「また積み上げられる」「やり直せる」という感覚が戻ってきました。
これは、単なる身体の話ではなく、気持ちの話です。
この感覚が戻ったことが、私の中で「手術をしてよかった」という納得につながっています。

迷っている人へ:私が伝えたい2つのこと

もし今、手術か保存療法かで悩んでいるなら、私は次の2点を伝えたいです。
これは医療的な指示ではなく、私の体験からのメッセージです。

  • 短期の「早く戻りたい」だけで判断すると、遠回りになることがある
  • 長期の安心感(不安定感を抱えない生活)も判断軸に入れてほしい

私は焦って戻ろうとして、状態を悪化させました。
だからこそ、同じように悩んでいる人には、焦りだけで選択してほしくないと思っています。
迷いがあるなら、主治医に「不安な点」「復帰の見通し」「生活上の制約」を具体的に質問し、納得できる材料を集めてください。

そして最後は、他人の正解ではなく、自分が「この選択で前に進める」と思える方を選んでください。
私にとっては、手術はつらかったけれど、結果的に前に進むための選択でした。


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※この記事は体験談であり、治療方針の正解を断定するものではありません。症状や治療方針は個別性が高いため、必ず医療機関で相談してください。

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