前十字靭帯再建術後1〜3ヶ月の痛みと回復の実感|歩行・腫れ・不安の変化をリアルに解説
術後1〜3ヶ月の時期に注意したい横方向の動きと、足のケアについて視覚的にまとめたイラストです。

術後1〜3ヶ月は「見た目より不安が強い時期」

前十字靭帯再建術の1〜3ヶ月は、見た目の腫れが少し引いてきたり、歩けるようになったりして、いわゆる「回復してきたように見える時期」です。

ただ、実際のところは、

  • 痛みの質が変わってくる
  • 横方向・ねじれ方向の動きがまだ怖い
  • 移植した腱がいったん弱くなる時期に入る
  • むくみや熱っぽさが残りやすい
  • 「本当に大丈夫なのか」という不安が大きい

というように、外から見える状態と、自分の感覚のギャップが大きいタイミングでもあります。私自身も、この時期は特に慎重に動いていました。

退院直後〜1ヶ月の状態

足をつくのも痛いところからスタート

退院直後は、足をそっと地面に置くだけでも痛く、荷重が膝に響いて「ズキッ」とくる場面が多かったです。歩くというより、「なんとか前に進んでいる」という感覚に近いものでした。

傷がふさがらず、ラップを巻いてシャワー

傷口が完全に閉じるまでは数週間かかり、シャワーのときはラップで保護しながら、濡らさないように気をつけて入っていました。なぜか風呂に上がると中は濡れていますが。少し動くだけでも引きつるような感覚があり、お風呂の時間もけっこう気を使っていました。

膝はパンパンなのに太ももは痩せていく

膝だけはパンパンに腫れているのに、太もも(大腿部)は日に日に細くなっていく──。鏡で見るたびに、「本当に元に戻るのかな」と不安になる時期でした。手術したという事実とともに、動かせない時間が長いと、筋肉が落ちるスピードの速さを実感します。

包帯と圧迫ケアの変化

術後すぐは「傷の保護」がメイン

術後〜抜糸までは、傷口の保護や出血・腫れを抑える目的で、しっかり包帯を巻いて過ごします。この時期はまだ、「包帯=手術直後の固定・保護」というイメージが強い期間です。

抜糸後は「むくみ・熱のコントロール」へ役割が変わる

退院後しばらくのあいだ、私は足首から太ももにかけて包帯を二巻使用して巻いて生活していました。膝がパンパンに腫れていて、動くとすぐに熱を持ち、腫れが強くなったのか圧迫通と、夕方にはジンジンするような感覚が強かったからです。

一般的にも、術後の包帯は次のように役割と期間が変わっていくと言われています。

  • 術後〜抜糸(目安:1〜2週間):傷口の保護、出血や腫れを抑える目的でしっかり巻く
  • 抜糸後〜1〜2ヶ月:膝のむくみや熱感をコントロールするために、軽い圧迫として使う
  • むくみが強い場合:2〜3ヶ月ほど続けるケースもある

私の場合も、膝の腫れと熱っぽさが続いていたので、二巻から一巻へと徐々に減らし、包帯を完全にやめたのは術後2ヶ月くらいだったと思います。

いつ一巻に切り替えたかまでは正直よく覚えていませんが、仕事帰りには膝がジンジンする日が多く、軽い圧迫がないと心もとなかったのはよく覚えています。体質や生活の負荷によってかなり個人差が出る部分だと感じています。

1〜3ヶ月で起きる「痛みの質」の変化

まっすぐの動きはラクになってくる

太ももの筋肉が少しずつ戻ってくるにつれて、足を前後に動かす分にはだいぶラクになってきました。その場で軽くジョグをする程度であれば、「これなら大丈夫そうだな」と思える場面も増えていきます。

横・斜め・ひねりはまだ怖くて痛い

一方で、横方向・斜め方向・ひねりの動きは、まだまだ怖い時期です。

  • 方向転換をするとき
  • 荷物を持った状態で身体の向きを変えるとき
  • ちょっとした段差で踏ん張ったとき

こうした動きで「ズキッ」と鋭い痛みが走ることがあり、「今の動きは大丈夫だったかな」と不安になることもよくありました。正面の動きよりも、横やねじれの動きに弱さを感じるのが、この時期の特徴だと思います。

移植した腱がいったん弱くなる時期に入る

この1〜3ヶ月というタイミングは、見た目には少しずつ良くなっているように見えても、実は「移植した腱の中身」が一番不安定になりやすい時期だと言われています。

手術で移植した腱は、時間をかけて自分の身体になじんでいく過程で、

  • いったん細くなったり
  • 元よりも弱くなったり
  • そこから少しずつ強さを取り戻していったり

という変化をたどるとされています。ちょうどその「強度が落ちやすい時期」が、6〜12週前後、つまり術後1〜3ヶ月のあたりに重なってきます。

私自身も、まっすぐ歩く分には問題なくても、横方向やねじるような動きになると一気に不安が出て、「ここで無理をしてはいけないな」と強く感じていました。見た目には普通に歩けていても、慎重に行動したほうがいい時期だと今でも思います。

仕事・生活の負荷で出やすい症状

帰宅時に患部が熱を持つ

通勤や仕事を続けていると、夕方〜帰宅時に膝がジンジンと熱を持つ日が多くありました。

長時間の移動や立ち仕事、まだ十分に戻っていない可動域で動き続けることで、

  • 軽い炎症が続く
  • むくみが出る
  • 膝の周りが張ったような感覚になる

といった状態になりやすく、仕事が終わる頃にはどっと疲れを感じることが多かったです。

生活には戻っているのに「安心して動けない」時期

術後1〜3ヶ月のころは、日常生活そのものはこなせる一方で、「安心してスッと動ける」という状態からはまだ程遠いと感じていました。

  • 痛みや違和感が残っている
  • いつまた強い痛みが出るかわからない不安がある
  • 反対側の足に頼ってしまうクセがつく

頭では「回復してきているはず」とわかっていても、身体の感覚が追いついてこない時期で、「本当にこれで合っているのかな」と何度も自分に問いかけていました。

術後1〜3ヶ月を振り返って感じること

振り返ってみると、術後1〜3ヶ月は、私にとって「見た目と中身のギャップが一番大きい時期」でした。

できることは少しずつ増えていくのに、移植した腱はまだ弱くて、横やねじれの動きには強い不安が残っている。生活は送れていても、どこか常にブレーキをかけながら動いているような感覚がありました。

当時は「この違和感や不安は、自分だけおかしいのかもしれない」と思うこともありましたが、今になって振り返ると、むしろ自然な回復の流れの一部だったのだと感じています。

同じように術後1〜3ヶ月の不安な時期を過ごしている方が、「このくらいの感覚でも大丈夫なんだ」と少しでも気持ちが軽くなればうれしいです。

この先のステップと関連記事

このあとも、術後3〜6ヶ月、半年〜1年と時間をかけて、少しずつ膝と付き合い方が変わっていきました。別の記事では、

といったテーマもありますので、気になるところがあればあわせて読んでみてください。

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