前十字靭帯と半月板手術の退院後初期に実行したリハビリとケア
退院直後の膝はまだ不安定で、とにかく慎重なリハビリと冷却ケアが必要です。このイラストはその様子をわかりやすく表現したものです。

退院直後のリハビリとケアで私がいちばん気をつけたこと

前十字靭帯再建術と半月板の手術を終えて退院したあと、私は「ようやく家に帰れる」という安心感と同時に、移植した膝の腱にかなり不安を持っていました。
見た目はギプスも外れて動けそうに見えるのですが、移植した腱はまだ十分に機能していません。

担当の先生や理学療法士さんからは、
「移植した腱はいったん弱くなってから、時間をかけて少しずつ“靭帯らしく”変わっていく」
と説明を受けました。

私は専門家ではないので、ここでは医学的な細かい話ではなく、あくまで「患者としてどう感じていたか」「退院直後に実際に何をしていたか」という体験を中心にまとめていきます。

退院してすぐの膝の状態と、最初の2週間で意識していたこと

退院してから2週間くらいは、とにかく膝が不安定で、ちょっとした段差や方向転換でも「グニッ」といきそうな感覚がありました。
特に意識していたのは、次の2つです。

  • ・必要以上に歩き回らない(でもまったく動かさないわけでもない)
  • ・膝に負担をかけた日は、いつもより丁寧にケアをする

退院してしまうと、病院のようにすぐ看護師さんやリハビリの先生が見てくれるわけではありません。
「ちょっと不安だな」と思う場面が増えたぶん、自分でブレーキをかけながら生活する必要があると感じていました。

退院直後に自宅で続けていたリハビリメニュー

入院中とほぼ同じ内容を、自宅でもそのまま継続

退院直後のリハビリの内容自体は、基本的に入院中とほとんど変わりませんでした。
私が毎日やっていたのは、次のようなメニューです。

  • 椅子に座った状態での膝の曲げ伸ばし:10分
  • 膝におもりを乗せて伸ばすエクササイズ:10分
それが終わったら、筋トレとして次の2つを中心に行っていました。

① 足を伸ばした状態での上げ下げ(各向き30回)
仰向け・右向き・左向き・うつ伏せの4パターンで、手術した足をまっすぐ伸ばしたままゆっくり持ち上げて下ろす運動です。

② 4分の1スクワット:30回
いわゆる「浅めのスクワット」です。
膝を深く曲げるのではなく、ほんの少しだけ曲げて戻す動きを繰り返します。
ここでは、「筋トレ」というよりも、体重を支える感覚を取り戻すイメージに近かったです。

この①+②を3セット行い、これを朝と夕方の1日2回続けていました。

一番つらかったのは「早起き」と「時間の確保」

メニュー自体は、入院中からやっていたものなので慣れもあり、そこまで苦痛ではありませんでした。
ただ、退院後は仕事に戻る必要があったので、

  • ・出勤前に1時間ほど早起きしてリハビリを終わらせる
  • ・帰宅後にもう一度同じメニューをこなす

という「時間のやりくり」が正直いちばんしんどかったです。早起きはつらいですし、変える時間が遅くなる日もありましたので。
それでも、「ここでサボると復帰が遠のく」と自分に言い聞かせながら、淡々と続けていました。

リハビリ後に欠かさず行っていた膝のケア

リハビリの締めは「しっかり冷やす」

退院直後の膝は、何もしていなくても熱を持っているような感覚がありました。
そこにリハビリで負荷をかけると、さらにポカポカというか、ジンジンというか…。
なので、私はリハビリが終わったら必ず氷嚢で冷やすようにしていました。

病院にいるあいだは、氷もアイスバッグも当たり前のように用意されていましたが、自宅だと事情が違います。
氷を大量に使うようになるので、最初は消費量の多さに驚きました。退院した日に製氷皿4つを買いましたが、ぎりぎりの運用です。

膝まわりのマッサージで動きを良くする

前十字靭帯再建術後、退院直後の自宅ケアとして、男性が床に座って右足をまっすぐ伸ばし、膝を優しくマッサージしている様子のイラスト
退院直後のケアとして、自宅で右膝をまっすぐ伸ばしたまま優しくマッサージする様子。前十字靭帯再建術後の硬さをほぐすために行う基本的なセルフケアの一例です。

私は、膝の動きを少しでも良くしたくて、リハビリ後に膝まわりのマッサージも取り入れていました。
具体的には、次のような部分を重点的に触っていました。

  • ・膝の裏側
  • ・大腿四頭筋の膝に近い部分(膝のお皿の少し上あたり)
  • ・膝のお皿のまわり
  • ・大腿骨と脛骨の間(お皿の少し下あたり)

ぐりぐりやりすぎると普通に痛いので、「いた気持ちいい」くらいの強さで止めるようにしていました。
膝のお皿を軽く動かしてやると、膝全体の動きが少し楽になる感覚があったのを覚えています。

これを毎日コツコツ続けていたおかげか、先生からは「腫れの引きも筋力の戻りも早いほうだね」と言われました。

ふくらはぎまわりの変化

ふくらはぎの腱を取った影響で内出血も少し出ていて、ふくらはぎの見た目もかなり変わりました。
先生の話では、「1年くらいかけて元の状態に近づいていく」とのことでした。

「前十字靭帯も勝手に元どおりになってくれればいいのにな…」と、何度も思いましたが、現実はそう甘くないですね。

お風呂に浸かれないストレスと、OKが出るまで

退院してすぐは、まだ湯船に浸かることはできませんでした。
私の場合は、だいたい退院から2週間後くらいに先生から「もうお風呂に浸かっていいよ」と許可が出ました。

お風呂が好きな私にとっては、この2週間が想像以上に長かったです。
本当は湯船に浸かりながら膝を温めてマッサージしたかったのですが、それはしばらく我慢。
それまでは、シャワーだけで済ませながら、リハビリとアイシングを地道に続けていました。

これから退院を迎える人へ――完璧じゃなくていいから、続けること

退院直後のリハビリとケアは、「内容」そのものよりも、毎日続けられる仕組みを自分の生活の中に作ることが一番のポイントだと感じました。

  • ・朝、何時に起きればメニューをこなせるか
  • ・仕事や家事のあと、どのタイミングなら続けやすいか
  • ・膝の状態が悪い日は、どこまでならやっても大丈夫か

このあたりは人それぞれ違うと思いますが、私の場合は「とにかく毎日触る」「ゼロの日を作らない」ことだけは意識していました。

完璧にできない日があっても、少しでも膝に向き合う時間を取っていれば、後から振り返ったときに大きな差になるはずです。
退院直後の不安な時期を過ごしているどなたかの参考になればうれしいです。

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